2009年4月23日


土木

自然(山) の中に入ると、自然が持つパワーに圧倒されるのはいつものことだけど、3月に黒部を横断した時は、その奥深さに比例して、いつも以上に強く感じた。

しかしながら、そんな中で頑張っている人工物を見ると、逆に人間の頑張りもすごいなと考えさせられた。巨大になればなるほど、抵抗として自然のパワーをもろに受けることになるから。

黒部横断の際は、「黒部の太陽」を読んだ直後だったこともあり、黒部ダムは遥か下流でその姿は見れなかったが、黒部湖を渡るときは一層感慨深くなった。厳しい自然環境に、巨大なトンネルやダムを作る日本の技術力の高さを強く実感。

黒部の太陽
黒部の太陽
posted with amazlet at 09.04.23
木本 正次
信濃毎日新聞社
売り上げランキング: 11655
おすすめ度の平均: 3.5
5 小説を通して、「黒部」の厳しさを知ることができました
4 一気に読める秀作
4 酷評されている方もいらっしゃいますが...
1 少し気の毒ですが
2 今ひとつ・・・

最近、ドラマ化されたが、ちょうど黒部横断中で見られず。

もちろん巨大建築物は今となっては時代に逆行するような物だけど、当時の苦労、これまでの歴史的な奮闘があって現在の技術があるのだろう。理論だけで歴史は作れない。先人達に感謝。




そんなこんなで、最近はトンネルやダムなどの巨大建築物に関する本を読みあさっていた。

闇を裂く道 (文春文庫)
吉村 昭
文藝春秋
売り上げランキング: 42419
おすすめ度の平均: 5.0
5 巨大プロジェクトと生活再建のあり方
5 たんなトンネルの掘削工事の模様とそのトンネルの上にあった村、そして地震のお話です

日本の本格的なトンネル工事としてはこれが最初かな。大正時代に着工され、完成までに 16年を要した丹那トンネルの難工事を小説化したもの。



高熱隧道 (新潮文庫)
高熱隧道 (新潮文庫)
posted with amazlet at 09.04.23
吉村 昭
新潮社
売り上げランキング: 6822
おすすめ度の平均: 4.5
5 先人たちの偉業であり、犠牲の凄まじさ
5 あまりの迫力、臨場感に鬼気迫るものを感じる
5 「記録文学」とは
5 やり遂げる執念のすごさ
5 映像化できない調べた小説

黒部第 4ダムの下流にある第 3ダムの工事を小説化したもの。最初に読んだのは高校の時。たぶん、この工事が過去の工事では一番壮絶で、死者は 300人以上。

時代は昭和初期、まだ耐熱火薬がなかったため、地熱が 100度以上もある切羽にダイナマイトを詰める段階で自然発火するという悲惨な事故が多発。コンクリ製 4階建の飯場が雪崩で 500m 以上も空中を吹き飛ばされ、対岸の岩壁に叩きつけられて 79名が死亡とか、自然のパワーは想像を絶する。

小説では触れられていないが、ほとんどが朝鮮から連行してきた強制労働者。この工事で亡くなった朝鮮人労働者に関しては詳細なルポも刊行されているが、まだ未読。





「無名碑」は奥只見にある田子倉ダム建設を担当した一技術者の生涯を追った小説。田子倉ダムに関しては上巻のみで、あとは名神高速、タイのアジアハイウェイ工事に関してだが、そっちも面白い。。ダム工事に関する小説では、個人的には一番好き。なんでこんな大作が絶版になっているのか不思議でならない。

「湖水誕生」は長野県にある高瀬ダムに関する小説。ダムに関する技術的な説明は「無名碑」より詳しく書かれているし、ダムを取り巻く環境の変化を、政治面からもうまく書いてあり、こちらもボリュームたっぷりで読み応えあり。



秘境を貫く 飛騨トンネルの物語
寺田 光太郎 松浦 隆幸
中日本高速道路
売り上げランキング: 45760
おすすめ度の平均: 4.0
4 わくわくどきどきトンネル工事

時代は一気に進み 20世紀末。飛騨トンネルの工事にまつわるレポ。

本当に 20世紀末?
それともやっぱりいつの時代になってもトンネル工事は難しいものなのか?

さすがに死者は出ていないものの、工事開始から開通までに 12年を要し、総工費は 1000億円以上をかけている。うーむ。

建設会社の社員が書いているので、スタイルは「黒部の太陽」に近いが、写真や図が多用されているので、これまでよくわからなかった、矢板工法やシールド工法、シールドマシンがどんなものなのかが一目瞭然。当然と言えば当然だが、恐ろしいほどの巨大なマシン群に驚くとともに、男の子回路発動。



ダムに関する書籍に関しては、日本ダム協会のサイトがよくまとまっている。

ダムの書誌あれこれ(5)~小説を読む〔上〕~ - ダム便覧

ダムにまつわる書籍って、一般向けに限定してもこんなにあるのか。あ~色々読みたくなってきた。

「押すなよ!! 絶対押すなよ!!」


トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://enokido.net/mt/mt-tb.cgi/2575

管理人:えのきど。
職業:Web Design Engineer
(Designer+Programmer) / 2

Designer にも Programmer にも成りきれず、どっちつかずでふらふらしてます。先は見えてません。

生存証明用の日々のメモブログ。メインは雪山大好きっ娘。です。

このブログの RSS RSS
counter