[漫画]イカロスの山 1巻 - 塀内夏子
(2006/03/23 塀内 夏子著 モーニングKC 講談社)
『オンサイト』の次の作品として、週刊モーニングで連載がスタートした作品。衛星峰ではない独立した山として、15番目の 8000m 峰が中国で発見され、その山の初登を争う過程を描いた話です。
どこかに "構想 1?年" と書いてあった気がしますが、話の内容も 1?年前のまま(もっと古いかな) で、あまりにも現実離れしていたため、その後の連載に関してはまったく読んでいませんでした。今回単行本化されたので買ってみましたが、やっぱりリアリティがなさすぎていまいち入りこめません。
未踏峰に対して各国の "一流" 登山家が初登頂争いを繰り広げるという時代も、それが 8000m峰だとしても、だいぶ昔(1950年代?) に終焉しています。現在は壁の難易度やラインの綺麗さで登る対象が選ばれる時代です。
また、現在の岩登りにおいて、肩がらみでビレイすることってあるのでしょうか? 技術として知っておく必要はありますが、しっかりした確保支点が取れない雪稜や簡単な岩稜歩き以外では使わない気がするのですが。少なくとも過去に行ったことがあるチンネ左稜線では、使う場面はありませんでした。
また、リードが落ちた時に、すぐにロープを切るためのナイフを出すというのもおかしすぎます。もちろん場合にもよるのかもしれませんが、「リードが落ちて壊れるような軟弱な確保支点でビレイするなよ」、「仮固定 - 自己脱出くらいできるだろ」と言いたいです。
先日の NHKドラマの『氷壁』でも同様のシーンがありましたが、これの元になっている史実って何なのでしょう? まさか 1865年のマッターホルン初登時の下山中のザイル切断事故ってことはないとは思いますが。「そこに山があるから」と同じくらい陳腐化しています。
唯一共感できた文言は、
おれに払う金があったら新しいザイル買いな 傷んでるぞ
「金で買える安全」は買っておきな・・・・・・
という箇所だけでした。
自分の場合、ロープ(ザイル) が、シングル/ダブル問わず大体半年、ハーネスが 1年、確保器は半年、カラビナ、カムは臨機応変で買い替えています。某ガイドに言わせるとそれでも「登りこみが足りない」そうです。
確保器に関して、ルベルソは特に摩耗が早い気がします。昨年 10月頃に出たルベルソのニューモデルは、段が付いているため制動力アップには最適です。が、摩耗してくると、この段の箇所の減り具合によっては、制動をかけた際に、ロープに鋭角に食い込むことになり、見ていてかなり怖いです。
とにもかくにも、登山の流れをもう少し調べてから書いて欲しかったところです。デビュー作の『俺たちの頂』ではきちんと書かれていたのになぁ。残念。
関連エントリー
イカロスの山 (2005/11/23)
オンサイト 第 1話 (2005/3/4)
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コメント (5)
うーん、たぶんないですね。
雪稜だったり、傾斜が緩ければ肩がらみもありだとは思いますが、あれだけの傾斜だと、落ちた時に肩がらみでは止められません。
また、支点もきちんと作っているので、ビレイ器を使ってもそれほど時間は変わらないはずです。
最近の 8000m 峰の壁での記録を見ている感じでは、みんなビレイ器を使っています。
投稿者: えのきど。 (2007年10月09日)
山岳漫画でハーケンにザイル通しちゃうのは勘弁してほしいと思ったけど、8000mの未踏峰ならスピード重視の肩がらみはアリだと思うなあ。
投稿者: ななほし (2007年10月08日)
雪山だと手袋つけるし指先が悴んで確保器にザイルを通しにくかったり結び難かったりするから熟練者は「肩がらみ一番」って言います。慣れればグリップビレイとの併用で除々に制動を効かせれば、大分使えるそうです
ヒマラヤみたいな天候が極めて不安定なロングルートだと、トップクライマーはいかに時間を節約して早く登るがが大事になると思うんで、支点工作に時間を割かないのでは・・・まして「絶対落ちない」と思えるほどの実力者な訳だし
大衆受けしないといけない週刊誌の連載なんで、あまりにディティールに凝ると読者離れするだろうし、そこんとこのジレンマは作者が一番悩んでると思います
素人意見でした
投稿者: 青ちゃん (2006年08月24日)
『オンサイト』の心理描写は良かったですよ。
『岳』もお勧めです。
投稿者: えのきど。 (2006年04月25日)
私も「イカロス山」は最初読んでから読んでません。
理由は雪山大好きっ娘さんと同じ理由です。ズバリ!リアリティのない漫画だからです。
僕はスポーツクライミング専門ですが、肩でビレイなんておかしいです。ちゃんと取材したんでしょうか?「オンサイト」という漫画も現実離れしていてすぐ読むのやめました。
ええ山岳漫画始まらないですかねぇ?
投稿者: ぼるびっく (2006年04月23日)