横山勝丘講演会 「ラインを引く」
ロクスノ33号 の 残置に関する対談で、横山さんの「冬季初登という考えをやめよう」というコメントが紹介されており、目からウロコでした。(夏と冬では壁の弱点が違う。冬は、夏のラインにとらわれず、冬のラインを登るべきということ。)
今日の講演会もタイトルどおり、"ライン" がテーマに据えられたもので、昨年 11-12月に行かれていたネパール・カンテガ北壁のスライドをメインに、ここ最近のクライミングが紹介されました。
カンテガ北壁
- 松本の佐藤さんと
- トレッキングピークではないので入山料が高い
- BC まで 5日、BC から AC までのアプローチが結構大変
- アプローチで風邪をひき、へろへろだった
- ラインは北壁のど真ん中。標高差 1200m。ババノフのラインとは干渉しない
- ラインは氷を繋いだもので、ほとんど垂直で、座れるテラスなし
- 近くの山で、2日ほど高所順応
- トップは空身、セカンドが荷物をしょってユマーリング
- ↑システムを間違えた。荷揚げシステムの方が良かった
- 1日目はビレイ点にぶら下がっただけでビバーク
- 全く陽がささないのでとにかく寒い
- 2日目はラインを少し外れた半洞窟状のところでビバーク。16(?)ピッチ目
- 残り 400m くらいで、凍傷の危険性やギアを落としてしまったこともあり下降へ
- 下降は懸垂で 4時間
- とにかく疲れた
敗退理由は、「自分が弱かった」・「心が折れた」とのことで、トレーニングをし直して 2008年秋に再度挑戦するとのことでした。
その後は、アラスカ・ハンティントン南西壁・志士、アラスカ・デナリ南西壁・デナリダイヤモンド、南米・ボリビア・イリャンプ北壁、アラスカ・ブロークントゥース北面・Before the Dawnのスライドなどを解説を含めて紹介。どの山に関しても、最初に山の壁を示し、それからお客さんに "どこにラインを引きますか?" という質問をしてから、横山さんが登ったラインを示すというやり方は面白かった。
日本の山も少し紹介され、槍ヶ岳西稜、唐幕中央ルンゼ、錫杖岳前衛壁周辺、福地温泉の氷(?)などのスライドが流れました。錫杖の氷は去年よりも状態はいい感じでした。
横山さんのクライミングスタイルは、季節を問わずにできるだけフリーで行き、合理的かつ攻撃的なラインをその山の壁に引くということ。そのラインが他人に訴えかけられることができれば尚良しとのことでした。そのため、基本的に山にボルトは持っていかず、ボルトを使わないと登れないような壁にはトライしないとのことでした。
一応トポや過去の記録を見て行くところを決めるそうですが、登るラインに関しては、壁を見てから臨機応変に対応されているそうです。そのため、山を見る目、ラインを読む目(実力) をつける必要性を力説しておりました。「山はグレードではなく、もっと根本的なもので、タフさ、精神力、体力、それらを生かせる経験、判断力が必要となる場所である」。
ちなみに、高所の壁に付けられているグレードは、高度が加味されたグレードだそうで、横山さんは腕のパンプ具合でグレーディングされているそうです。
日本に課題がなくなったと言って海外の壁に行く人は多いですが、日本にもまだまだ探せば登るところはいくらでもあります。皆さんもっと行って下さいという言葉には、あいたたたという感じでした。
今回の講演会はいい刺激になり、底まで落ちていたモチベーションが少し回復しました。
参考情報
明日のクライミングを垣間見た。 (Team Bangees)


コメント (2)
失礼しました。
質問は記憶しておりますが、まるちさんだとは気付きませんでした。
当日知人が多数いたのですが、普段は壁でしか会わないので、下界での服装とのギャップに戸惑いました。
投稿者: え。 (2007年01月30日)
実は僕も行ってました。一番前の右端の席でしつこく質問してたのは僕です。
投稿者: まるち (2007年01月26日)