雪煙
(2007/11/30 こすが聖絵著 美術出版社)
2007/2/14 に八甲田山系・前嶽の北側斜面で起きた雪崩に巻き込まれ、この事故で夫を亡くした妻の聖絵さんが書かれた本。事故はツアー客 24人が巻き込まれ、2人死亡、7人が負傷するという大惨事になりました。
八甲田、不明の男性1人を無事発見 死者2人、負傷7人に (雪山での雪崩・遭難事故のまとめ)
本書では、雪崩で夫を失った悲しみが前面に出され、感情的に書かれているため、矛盾している個所があったりはするものの、メインの主張である悲しみ、無念さを伝えるという点に関してはきちんと伝わってきます。
この事故では、ビーコンをしていた著者の旦那さんが亡くなり、ビーコンをしていなかったにも関わらず、後から掘り出された方が亡くならなかった事実より、科学的な雪崩学に対して懐疑的な主張も見受けられます。
雪山に入らなければ別ですが、悲しみという主観だけでは雪崩の事故を防ぐことはできず、やはり、現時点では根本的な解決策にはならないものの、科学的・客観的な情報が必要になります。
近年は雪崩にあわないように予測するのではなく、雪崩は起きるものであり、その雪崩で致命傷を負わないための予防方法、リスクマネジメントをいかにするかというのが雪崩対策の中心になっています。
そのリスクマネジメントに関して、この本の巻末で日本雪崩ネットワーク理事長の出川あずささんが
"最初に理解すべきことは雪崩地形であり、そこでの行動マネジメントが最も重要になります。"
と書いています。最後に判断するのがたとえ人間という主観であっても、マネジメントにはやはり科学的・客観的な情報が必要になります。(受けウリ)
本は著者の Blog をベースにして書かれており、山関連での Blog 本としては初めてだと思われます。結構手を入れたと書かれているのですが、現在は限定公開なため、実際の Blog の記事とどれだけ相違があるのかはわかりません。Blog がベースとなっているからか、報告書とも文集とも違い、独特の体裁になっています。
関連情報
八甲田の雪崩事故から何を学ぶか (La Vie d'un Guide)
八甲田山で雪崩事故 (ブルークリフ TAKIのブログ)
視点がずれてる(雪崩だけに)(Laboratorism - 新井裕己のハードコア人体実験生活)
悪いは(日々是登攀)
GIROヘルメット入荷 (ブルークリフ TAKIのブログ)
雪崩に関して
自分の過去を振り返ってみると、大学 2年の春(1996/3/17) に、北アルプス・扇沢の雪崩事故で非常に近い先輩を亡くしました。その時付き合っていた彼女の誕生日だったこともあり、この日は一生忘れないでしょう。
その後、しばらくは結構やみくもに雪崩に対する文献を読み漁っていたり、文部省登山研修所や日山協、信州大学が開催していた雪崩講習会に参加したりしました。それでもやっぱり未だに雪崩がよくわかりません。根拠のない勘で動いている部分が大きい気がします。アイスやミックスなど雪山に頻繁に入る身としてはもっと勉強しないといけないですね。
昨年末の北海道・カミホロ、正月の槍ヶ岳と雪崩事故が立て続けに起きているので、気をつけて行きたいところです。
雪崩関連の書籍紹介。
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一番最初に買った雪崩の本。 著者は今は若林に姓が変わっていますが、信州大学の元教授で雪崩学の権威。 2000年に改訂版が出ているものの、もともとは新田先生がヨーロッパに研究のために留学していたときの研究内容を本にしたものなので、内容はかなり古いが、当時はまだ一般的な雪崩の本がなかった。新田先生の雪崩講習会を受けに行ったこともあります。 |
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続編も含めてかなり読み込んだ本。雪山を始めた当初は、巻末の雪崩マップに載っているエリアにはまったく近づきませんでした。この本で勉強した人はかなりいるのではないでしょうか。巻末の雪崩マップは Web化して定期的に更新してほしいな。 |
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副題のとおりバックカントリーに向けたもので、図が多くわかりやすい。中山先生には雪崩事故の報告書を書くときに非常にお世話になりました。中山先生の雪崩講習会も受けたことがあります。 |
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ブルース トレンパー Bruce Tremper 日本雪崩ネットワーク 山と溪谷社 (2004/11) |
雪崩に対する見方が変わった本。タイトルのとおり、雪崩に対するリスクマネジメントを扱った本。今読むならこの本がベスト。 |
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昨年発売になった若林(旧姓:新田)先生の本。昨日買ったばかりでまだ読んでいないので、読んだらすぐにレビューします。 |
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昨日買ったばかりでまだ読んでいないので、読んだらすぐにレビューします |
関連エントリー
雪崩追っかけ四十年―Prof.若林のhot雪崩学講演会 (2006/2/2)
雪崩リスクマネジメント (2004/12/10)












コメント (1)
ご紹介いただいてる拙著「雪崩の掟」、数人の書評をhttp://www.alpsnadare.jp/に載せました。また、最近の雪崩論を 信州Live on>ブログ>雪崩の森 に連載中。ご参考まで…
投稿者: りう (2008年03月16日)