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崩れ

(幸田文著 講談社文庫)


新井さんの記録を少し調べたときに、稗田山北壁 「Out of boundary」 を滑ったときの記録に以下のような文章があった。

僕が今のスタイルを確立したのは、富士山大沢崩れをオンサイトで滑降したときでした。それからというもの、崩壊地に対する興味が心のどこかにあるのです。作家幸田文の随筆集「崩れ」とのシンクロニシティなのかも知れませんが、彼女と同じように、崩壊地を訪れたいという気持ちは常に持ち続けてきました。

その時から引っかかっていたので読んでみました。

作家である幸田文が北は北海道・有珠山、南は鹿児島県・桜島まで、各地の崩壊地を訪ねたルポをまとめたモノ。エッセイという形を取ってはいるものの、そこは文学者、自然に対峙したときの人間の心の内面まで、幸田文独特の文体でしっかり描かれています。

自然災害とはいえ、過去に崩れによって被害を受けた人々がその災害について語りたがるだろうか。聞く方としても、その辺を考慮してためらってしまうだろう。

しかし彼女は違った。

p73
土の崩れは、まざまざと人を崩しているものだった。それが書けるだろうか。書けば今日のその人の状態、いまのその人の思いを、固定させてしまうことになるのだ。そこに遠慮があった。土さえおさまれば、元の間柄や付合も戻るだろうし、好意は素直に好意として受取られ、気まずかった思いも消えるかもしれないのである。それを固定してよかろうか。その遠慮が、重苦しかった。

と後ろめたい気持ちを持ちつつも取材を重ねていった。

彼女が取材を始めたのは 72歳を超えてからである。彼女の年齢的なところも取材のしやすさに繋がったとはいえ、かなりのハードワークだったようで、たびたび案内の方に背負われて山を下りている。先が長くないことを意識してまでも各地を回るモチベーションは凄いとしかいいようがない。

彼女の自然に対する見方は独特で、ハッとさせられることしばしばでした。

p13
川だって可哀想だ。好んで暴れるわけではないのに、災害が残って、人に嫌われ疎んじられ、もてあまされる。

幸田文の本を読むのは初めてだったのですが、彼女独特の日本語の使い方にすっかりやられました。全集を買ってしまいそうだ。

関連リンク
富士砂防VTR
サイエンス チャンネル | シリーズ紹介 (NHK)

日本土石流

崩壊地を行く・稗田山




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