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[本]『アルピニスト・ジェントルマン』宣言 ヨーロッパ:正統な山の登り方 - アルピニスとし

(2008/8/28 アルピニストとし)
m081029-1.jpg

# コメントにて勘違いをご指摘いただいたので、修正しました。最初に書いた文章は打ち消し線でそのまま残しておきます。

冒頭にアルピニスト、アルピニスム、アルパインクライミングの定義が書かれているのですが、

アイゼンを装着してピッケルを使用する本格的な登山「アルピニスム(アルパイン・クライミング)」

ここが日本で一般的に使われているアルピニスト、アルピニム、アルパインクライミングという単語の意味と違うために混乱しました。

日本では "アルピニズム" はより高く、より困難な未知の冒険的要素を多分に含んだ挑戦的クライミングの思想を表す単語で、アルパインクライミングは単純に氷河があるエリア以上でのクライミング行為から転じ、山岳エリアでのクライミング行為(通称本ちゃん) を指す単語です。

またフランス語本来の意味は "アルピニズム" が "登山"、"アルピニスト" が "登山者" を表す単語なのですが、その意味とも微妙に違うため、さらに混乱してしまいます。

本の内容は、著者がヨーロッパで 30代になってから始めたクライミングの旅行記です。タイトルにもついていますが、"アルピニスト" という単語にここまでこだわる必要があったのでしょうか。

また、もしこだわるのであれば、日本での登山に言及している箇所もあるので、もう少し単語の説明が欲しかったところです。著者が気づかないのであれば、編集者が指摘してあげるべきでしたね、岳人を発行している東京新聞出版局なんだし。

・・・。

うーん、何か勘違いしてないかなぁ、この方。

そもそも冒頭でのアルピニストの定義が間違っていることから、全部がおかしくなっています。


アイゼンを装着してピッケルを使用する本格的な登山「アルピニスム(アルパイン・クライミング)」

と書かれていますが、現在は "アルパインクライミング = アルピニスム" ではないはず。この本では "アルピニスム" という単語が使われているのですが、これはいわゆる "アルピニム" のことなのでしょうか。

"アルピニズム" には未知の冒険的要素を多分に含んだ挑戦的クライミングの思想を表す単語ですが、アルパインクライミングは単純に氷河があるエリア以上でのクライミング行為を指す単語です。

アルピニストも "アルピニズム" を体現している人のことであって、「アルパインクライマー = アルピニスト」という構図でもないはずです。そもそも "アルピニスト" という肩書き自体、現在使っている人は abcさんくらいなのではないでしょうか。それともヨーロッパでの本来の意味は違うのでしょうか?


自称登山家の数はかなりだが、そもそも登山家の定義もあいまいなままだ。

という箇所はそっくりそのまま返したい感じです。

ですから、一般的には "クライマー" だと思うのですが、この方は基本的にガイド登山なため内容的にも xyzさんと変わりません。




また、書いている文章がひどい。とてもベルギーの政府機関職員として働いている人が書くような文章ではなく、どちらかというとブログ本のノリに近く、読んでいて非常に辛かった。「るねっさ~んす」という感じ。同様の内容の本では『五十歳からの挑戦―アルプス4000m峰36座登頂』の方が落ち着いて読めますし、オススメです。

"AG(アルピニスト・ジェントルマン) 宣言" をされるのは一向にかまわないと思いますが、それをヨーロッパの "正統な山の登り方" とするのはちょっとどうかと思いました。

参考情報
Alpinist・Gentleman Z (著者のブログ)


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コメント (10)

えのきどさん、
ご返答いただきありがとうございます。
登山者、登山客という点においてのご指摘、その通りかもしれませんね。今後「アルピニスト」という言葉をより大事に考えて使おうと思っております。また、これからは、より真摯に山の世界に向き合って取り組んで行こうと思います。

> としさん

コメントありがとうございます。

日本語でカタカナにした際の用語の混乱ぶりはご指摘の通りひどい状況です。

クライミングギアに関して言えば、現状はドイツ語から英語への過渡期にあると思います。当ブログでは英語に統一するようにしています。ただし "アーケ"、"タンデュ" といったホールディングの方法に関してはフランス語のままですね。

難しいのは地名、人名です。言語が変わるだけで、マイケルがミッチェルだったりミカエル、ミゲールと色々変わってしまいます。『Rock & Snow』誌ではカタカナ表記にする際は NHK や新聞での表記に統一しているそうです。


> 「モンブランはアルピニストの領域だ。(ハイカーが軽々しく挑戦すると危険ですよ。)」

この点に関してなのですが、まさにその通りだとは思うのですが、ガイド登山だったりヘリで山頂まで行った "登山者" に対しても "アルピニスト" という言葉を使えるのかどうかは微妙な感じがいたします。登山者というよりは "登山客(フランス語だと?)" に当たるのではないでしょうか。

えのきどさん、
はじめまして。
著者です。拙著をお買い上げいただいて大変感謝しております。それと同時に、私の文章力のなさからいろいろ混乱を招き、その点お詫び申し上げます。ご指摘のあった部分はもっともであり、今後は気をつけなければと思っています。
ただ、以下の点については少し説明いたしたく思います。
私の「アルピニスム」あるいはあ「アルピニスト」という単語へのこだわりには、以下のような理由があります。
まず、英米語では登山に該当する単語はマウンテニアリングですよね。「アルピニスト」という単語は英語においても使用されますが、「アルピニズム」はほぼ使用されていないと思います。そうすると、「アルピニズム」は仏語から外来語になっているわけで、仏語ではSは濁音発音しません。つまり「アルピニスム」です。アルピニストに関しては、えのきどさんの仰っておられる認識で正しいと思いますが、登山家=アルピニストではないと思います。英米ではハイキング、トレッキング(この二つも英米で認識の相違があります)、仏語でランドネと呼ばれているものも日本語では登山に含まれています。なのであえて違うカテゴリーを意味するものはアルピニスムじゃないかな、と考えています。少なくとも欧州においては。
1例としては、シャモニ観光局などに置いてある、シャモニガイド組合が発行している冊子などに、
「モンブランはアルピニストの領域だ。(ハイカーが軽々しく挑戦すると危険ですよ。)」と書かれてます。この点を正しく認識せよと注意喚起しているわけです。登山用品でも「ランドネ」と「アルピニスム」はきちんとカテゴリー分けされています。ハイキング、トレッキングという横文字が普通に使われている現在「アルピニスム」という言葉もきちんと整理されるべきであろうというのが私の意図でした。また、山岳雑誌の人名・地名のカタカナ表記訳文は間違っていることが多い。明らかに間違っているものよりはアルファベット表記のままのほうが良いように思います。ロープやザイルなど、いろいろ使われ、映画のタイトルだと「運命を分けたザイル」などドイツ語のほうがしっくりきたりしますが、そろそろこういった単語やカテゴリーがきちんと整理認識されるべき時期なのではないでしょうか。
ただ私自身が登山家として未熟なので、今回のような指摘を頂き大変勉強になりました。本当に感謝しています。今後もいろいろとご指摘・ご指導いただければ大変光栄です。

コメントありがとうございます。

> EMOTOさん
本場の経験が長い方の意見には重みがあります。やはり日本で使う単語と似た意味で使われるんですね。


> ミズムトさん
>>ありがちな登山ガイドや旅行記とは一線を画した、
>>ハードボイルド志向かつエピキュリアンな視点で描か
>>れたニュータイプの欧州アルプス登攀記。欧州旅行前
>>には必読の書!

確かに一線を画してはいるのですが、本としての価値は非常に微妙です。著者のブログで十分だと思いました。


たぶん、ご自分のことが非常にお好きな方だと思われます。

題名と著者名がすごいですね・・・。

東京新聞出版局なのですから、内容はきちんとしているのでしょうか?(著者のセンスはともかく)

とりあえずAmazonの内容紹介を見てみましたが、要は家族持ちのオヤジクライマーが家族に上手い事を言って、ヨーロッパアルプスに登るための手引書?

以下Amazonより引用。
この本の出現によって、21世紀の紳士的アルピニスム=「アルピニスト・ジェントルマン」宣言がなされた。新しい山とのつきあいかた、家族旅行のあり方を提唱。ありふれた日常からライト&ファストに大冒険の世界へ。欧州アルプスを舞台にすれば、短期間で多くの高峰を目指せるうえ、グルメやショッピングだって楽しめる! 配偶者や子供も大喜び!! 人生を全方位的に楽しみ、自然回帰の心で環境にも配慮。紳士的アルピニスム(AG)を実践して、ギクシャクし始めた社会を健全な方向に変えていこう!

ありがちな登山ガイドや旅行記とは一線を画した、ハードボイルド志向かつエピキュリアンな視点で描かれたニュータイプの欧州アルプス登攀記。欧州旅行前には必読の書!

へ〜こんなタイトルの本出す人居るんだなって記事読みました。
※本は当然読んでいません。

《アルピニスト・ジェントルマン》面白い肩書きですね。(笑い)
で、コメントに4件って有るからどんな事書いてるかとと見たらフランス語の単語の意味?の話だったので、コメントしますね。

僕の感覚的にはアルピニスト=登山者と言う辞書と同じ意味では現地で使われてるとは思いません。(辞書にそう書いてあるのか知らないけど辞書が実施の言葉の使われ方と違う事が多々ある事は事実です。)

アルピニストとは?
アルピニズムとは?
なんて良く話に成りますが

アルピニズム同様にヒマラヤニズムと言う単語を現地では使います。
ヒマラヤニズムとは日本で言う極地法の事かな?(FIXはって登ったり大人数だったり※この人数の定義も無いけど・・・)なのでアルピニズムはアルプス流の登山スタイルって感じかな。
でもアルプス流の登山スタイルって何よ?と言われるとそれはまた論議が有るでしょうね。

フランスで使われている単語【ツーリズム】は【旅】ではなく【観光】って言う感じでですかね。
旅は【Voyage】かな。(聞いたこと有ると思うけど”ボン・ボヤージュ”のボヤージュです)
【ツーリスト】=【観光する人】って直訳は成るけど使い方は【観光客】だろうな。

観光は旅の1つであってもそれなりの思考はあるような気もします。

と僕の辞書検索では無く僕の頭の中での使われ方で書きました。

コメントありがとう。

自分の調査不足というのもあります。disるのであれば、もう少し調べてから書けば良かったと思っています。今後は気をつけていきたいと思います。

残念ながら、著者のセンスは自分には理解できませんでした・・・。

 ある言語におけるある単語が、外来語として別の言語で用いられるさいに、別の意味を付加されたり全く別の意味になってしまうのはよくあることです。。

 「アルピニズム」に関しては正直自分にはわかりませんが、少なくとも現在日本語では「アルパインクライミング」が指す登山形態に関しては日本で登山を行う人の間ではある程度の共通認識があるはず。アルピニスとし氏は日本語で本を出す限りは、その語が日本でどのように使われているかをリサーチする必要があったということではないでしょうか。
 ただ、著者氏のブログなどを読む限り(http://blog.livedoor.jp/alpinistoshi/)、またえのきど。さんが引用されている箇所を読む限り、島田さんがコメントで書かれているような意味で「アルピニズム」が使われているとは思えないのが何ともしがたいところ。一つの単語を誰が使っているのとも違う意味で使われると読者は混乱しますね。

 あと、今気づいたけど著者名は「アルピニスとし」ですね。どういうセンス。

コメントありがとうございます。

なるほど、そういうとですか。

となると、日本的な視点で考えていた自分の勘違いですね。

のちほど書き直します。

アルピニズムは、元々というか今でもフランス語で「アルプスに登る」という意味で、そこから「登山」あるいは「登山趣味」をあらわす言葉です。(スタンダード仏和辞典から)
アルピニストはアルピニズムをする人つまり登山者ですね。
本来、それ以上の意味は無いはずです。
日本においては、スポーツ登山黎明期の実践者(主にエリート・インテリの学生)が「イズム」をなにか思想性のあるものと勘違いして日本独特の捉え方をしてしまったものと思います。
他の仏語の例として、「ツーリズム」という言葉がありますが単に旅をするということです。「ツーリスト」が何か思想的背景を持って旅をする人などとは誰も考えていませんよね。


 
 
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