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[映画]劔岳 点の記

(2009/6/20 東宝系)
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やりすぎだろと思えるほど大々的に宣伝されている映画、『劔岳 点の記』を見てきました。

原作は新田次郎の同名小説『劔岳 点の記』。監督は木村大作。過去に映画化された新田作品『八甲田山』、『聖職の碑』の両作品にカメラマンとして関わっており、今作品には最もふさわしい監督だと思われます。

カメラマン出身の監督だけあって劔岳周辺の風景描写は抜群。表からも裏からも劔岳が見えるメジャーな場所からの映像はすべて揃っています。特に自然を借景として繰り広げられるドラマは、人物が自然の中に完全に溶け込んでおり、どれも凄く綺麗にまとまった絵となっています。パンフによると、演技指導は皆無だったそうですが、本当に、俳優がただ佇んでいるだけの場面でも絵になっています。逆に人がいることによって、絵がより生き生きとしています。



明治 40年、まだ詳細不明であった北アルプス・劔岳周辺の地形図を作成するため、未踏と考えられていた劔岳に登り、三角点を設置する任に当たった陸軍・陸地測量部の柴崎芳太郎の軌跡を描いた物語。当時、発足したばかりの日本山岳会との劔岳初登争いがメインとなっています。



新田次郎の山岳作品に共通するテーマ「なぜ山に登るのか?」は、純粋に測量官・柴崎芳太郎の足跡を追っている原作には登場せず、映画化された段階で加えられています。危険を冒してまで山に登る理由は、映画の中では、測量部と山岳会で 2パターンに分かれ、測量部にとっては「なぜ地図を作るのか?」、山岳会はそのまま「なぜ山に登るのか?」

地図を作る理由は、明治の人はそんなこと考えないだろうという、非常に現代的、現実的な理由ではありますが、シーンとしてはハイライトであり、この映画のテーマをすべて収斂した形になっています。

反面、山に登る理由は結局分からないままです。まだ山岳会も発足したばかり、一般的に、山登りは、名誉と名声のために山に登る、金持ちの物見湯山的な趣味と見られており、山岳会のメンバーとしても、きちんとした答えを出せず、まだ曖昧模糊とした状態だったのではないでしょうか。

最後に測量隊と山岳会のメンバーがお互いに功績をたたえ合うあたりに、山に登る理由を何とはなしに感じている雰囲気はありましたが。長治郎が言った、「山に登るのは気持ちがいい」というのが、一応の映画としての解でしょうか。



他にも、

自然の美しさは自然の厳しさの中にしかない

人の挑戦する心に勝るものはない

人は何をしたかではなく、何のためにしたかが重要

など、ビジネス書に出てきそうなセリフが多数追加されています。



やや残念だったのはストーリー。短いシーンを繋げただけの、細切れ感が強く、もう一つ。2時間ちょいの尺に収めるには難しかったのかな。原作にはない場面はどれもいいシーンが多いだけにやや残念。長治郎の息子や妻、芳太郎の妻の役割が中途半端でした。 一番最後で

点の記は彼らを支え続けた家族達の記録でもある

と綺麗にまとめてはいますが。






[書籍]もうひとつの劔岳 点の記
(2009/6/17 山と渓谷社)
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今回の映画の公開にあわせて刊行された本。読み物というよりはリファレンス。歴史から登頂ルートまで劔岳にまつわる資料をまとめています。山岳史が好きな方は是非。

参考情報
映画『劔岳 点の記 -ツルギダケ テンノキ-』公式サイト

関連エントリー
[TV]情熱大陸 - 木村大作 (2008/9/21)


 
 
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1991/4
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